| 夏
日本はもとより広くアジアにも生息分布が広がる"キビレ"。属性はクロダイだが大きな鱗を持ち、尻ビレ尾ヒレの先端が黄色く染まる独特なスタイルを持つ。標準和名は"キチヌ"と呼ぶそうだ。
実を言うとこれまでキビレという魚に対してあまり良い印象を持っていなかった。
親戚が浜名湖畔にあったこともあり、幼い頃の遊びの大半は「魚獲り」。
その頃の獲物の最高峰はなんといってもクロダイで、キビレは何故かいまひとつな扱いだった。たしかにクロダイに比べると潮の効かない場所に棲んでいるし、顔つきもどことなくぼやっとしている。今思うと周りの大人たちの持つイメージをそのまま受け継いでいただけなんだと思うが、いずれにしてもキビレは僕達にとってB級対象魚だった。
それから何十年と時間が経った今、その印象は僕の中で大きく変わろうとしている。
昨年に続きこの夏は毎週浜名湖通いを続けた。相変わらずフッキング率は上がっていかないが、ポッパーに出る確立は先シーズンに比べると格段に良くなっている。今年はキビレが多い年で、ポッパーを襲う様子はクロダイよりもズッと派手で楽しい。そして粘り強いファイトも独特で、他の魚種では味わえないのもがある。そこへ持ってきてフッキングに苦労するものだからキビレのイメージは急上昇し、不思議なもので顔つきまで精悍に見えてきた。
釣り人が持つ対象魚のイメージなんて、本当に身勝手でいい加減なものなんだとこの夏あらためて思った。 |